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性風俗の現在の状況

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カジュアル化した理由は2つ

・女性の性に対する意識の変化
・貧困の深刻化

があげられる。

90年代から性風俗関連の取材を私はしてきたが、80年生まれが二十歳になった2000年代辺りから性の売買に抵抗のない女性が急増した。その後、数年間を費やし10代~40代の多くにその意識が浸透した。
この期間に女性たちは性に対してポジティブになった。「肉食女子」や「草食男子」と言った言葉が生まれたのも、その表れなのかもしれない。

性に対してポジティブに考える女性が本格的に増えたのは、2008年のリーマンショックで雇用が本格的に壊れてからだ。

90年代までは性を売る行為=転落の象徴であり、そこまで落ちたくはないと言う意識が根強かったが、その頃より遥に意識は全く変わっているのが現状だ。
「自分の才能や技術に対して男性客は安くないお金を払ってくれている。

誰にも頼らずに生きているのだから、私は平均的な女性に比べ勝っている。むしろ上層にいる」と言う意識すら見られている。
2000代以降は友達の紹介だったり、求人サイトで自分の意思で応募したり、繁華街でスカウトマンにスカウトされたりと、多くの女性が性風俗にポジティブに足を踏み入れている。
そのポジティブさからか、AV出演を足掛かりに、業界入りするような流れまであるくらいだ。

そうして、志願者が増えた結果、需要と供給のバランスが崩れ、今は以前のように簡単に商品価値が認められなくなった。つまり、女性なら誰でも参入できるビジネスではなくなったのである。

業界自体も細分化し、様々な種類の店舗が存在するようになった現在の形に至るまでに
3つの転機があった。

・1957年施行「売春防止法」
・1985年「風俗営業等取締法」の大幅改正による「風俗営業適正化法」の施行
 これにより深夜の営業が禁止。
・1999年の同法改正で性風俗店の届出が義務となりデリバリーヘルス「デリヘル」が事実上合法化

特に、75年の売春防止法で売春は「人としての尊厳を害し、性道徳に反し、社会の善良の風俗をみだすもの」と反社会的な行為として定義された。また、同法にて「売春とは何か」の定義が次のように書かれている。
「『売春』とは、対償を受け、または受ける約束で、不特定の相手方と性交することを言いう」
ここで言う性交とは「男性器を女性器に挿入する行為」、いわゆる本番行為である。
本番行為は反社会的な悪事とされ、それ以外の性交類似行為は合法とみなされたのだ。
そして撲滅すべきは本番行為であり、本番を売る女性が違法な存在である売春婦となったのだ。

そして、売春防止法以降から今に至るまで本番をしないサービスが開発され続けている。
風俗嬢は売春婦かと言う問題に戻ると、「デリヘル」「ファッションヘルス」「ピンサロ」「イメクラ」「SMクラブ」「性感マッサージ」等、本番をしない非本番系の店は「売春はしていない」と言う事になる。
本番ありきの「ちょんの間」「本サロ」「デートクラブ」で働く事は「売春をしている」ことになる。

ソープランドやAVは“不特定の相手方と性交する”仕事に該当するが、ソープランドと働いている女性には雇用関係がなく、女性達に部屋を貸しているだけ、と言う建前が徹底されている。
また、AVは映像を販売する前に警察関係者がかかわる映像倫理機構の審査を通すことにより「モザイクの向こうでは本番をしていない」と言う建前で成り立っている。
両社はグレーゾーンだと言える。

実態はさておき、客として遊ぶ際にもサービスに本番があるかないかが1つの分岐点となる。
ただし、皮肉なことに禁止されると逆に付加価値が認められやすくなるのだ。
その付加価値は地下経済の売買対象になりやすい。

それによって本番行為は付加価値が付きやすい切り札となり、風俗嬢個人の切り札となる。

そのため非本番店や風俗嬢が集客の為に有償無償に限らずオプションすることが常態化している。
個人的にする本番行為は、店側には把握されない為、地下経済の範疇に入る。


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